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2012/3/14 太陽光発電のみで電気を自給自足する家は実現するか?

星野毅が考える新エネルギー。太陽光発電のみで家庭で 必要となる電気を自給自足できるかを考えたいと思います。

今の技術では不可能

次の図は、4kWの太陽光パネルを設置した我が家の、2012年1月の太陽光発電の1日毎の発電量変化(緑の木のマーク)と、家庭で消費する1日毎の消費電力(青色の折れ線グラフ)になります。

電気の発電量と消費量の1日平均を計算しますと、
太陽光発電の発電量平均:10.1kWh/1日
家庭での消費電力平均:60.4kWh/1日
この結果から、電気を自給自足するための課題は2つあることがわかりました。

課題1 1日平均で50.3kWhの電力不足
太陽光発電した際の余剰電力をリチウムイオン電池で充電しましても(すなわち、発電した電力すべてを家庭で使用しましても)、50.3kWhの電力不足が生じます。
自給自足にこだわる場合、この50.3kWhの不足分を何かで補わなければなりません。

1)自家発電で補う
自家発電機は化石燃料を使用しますし、環境の問題(CO2排出)だけでなく、近所への騒音問題と、工場での自家発電とは異なり、設置するためには高いハードルがあります。

2)燃料電池で補う
高価ですが、燃料電池は家庭に適した発電方法です。しかしながら、発電した際の熱も利用し、温水をお風呂等で利用することで燃料電池全体の発電効率を上げております。お湯が一杯になってしまいますと、発電効率の観点から、発電をストップせざるをえません。24時間発電できない事が欠点となります。

3)リチウムイオン電池で夜間電力等を充電
現在、1kWhあたり10〜20万円のコストです。
技術革新があり、仮に5万円/1kWhまでコストダウンできたとします。その際、50.3kWhの充電を行うためのリチウムイオン電池の価格は、約251万円。
技術革新があれば、1日分の電気を補うことは可能です。しかし、充電に使用する電気は、外部から購入しなければなりません。

課題2 ほとんど太陽光発電しない日が続く場合がある
太陽光発電しない日が4日間連続とすれば、4日分、夜間電力の充電が可能なリチウムイオン電池が必要です。そのコストは・・・
上記の3)から、1000万円は超えそうです・・・

 

2月も同様の結果

この傾向は1月だけの問題ではありません。2012年2月の太陽光発電の1日毎の発電量変化を下図で紹介します。

課題1 1日平均で50.6kWhの電力不足(1月は50.3kWhの不足)
課題2 ほとんど太陽光発電しない日が続く場合がある

と、両者の課題は1月と同じになります。

 

ベースロード削減効果に期待

以上の結果は、ベースロードとなる電気が必ず必要である事を示しています。
このペースロードは、1年前までは原子力発電、現在は火力発電です。

しかし見方を変えますと、太陽光発電+リチウムイオン電池(蓄電池)を組み合わせることで、必要なベースロードの電力量の押し下げ効果はあります。

自然エネルギーと省エネルギーの融合だけで電気を自給自足することは不可能です。
但し、ベースロードを減らすための社会貢献ができることは確かであり、それが正しい表現であると思います。

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